ふたもりのブログ(仮)

個人的な感想とかメモ書きのまとめ。ネタバレもあるのでご注意を。

「夏への扉」感想

夏への扉[新訳版]

 

時間移動の綺麗な物語

  • 寝る前の時間をスマホタブレットでなく、本にして睡眠の質を上げよう企画の第一弾。
  • 昔から気になっていたタイトルだったので、ちょうど良いきっかけだった。
  • しっかりしたSFはまともに読んだことあるのが雪風くらいで、SF初心者。この作品自体はいわゆる古典SFという認識。
  • 結論としてはかなり面白かった。
  • 時間遡行とコールドスリープを使った時間移動のギミックを活かした物語がすごく綺麗に組み上げられてる印象。コールドスリープ前、コールドスリープ後の伏線を時間遡行して綺麗に回収していくのがお見事。
  • 主人公のダニーが時間移動の末、何をするのか、という点も納得感があって、それもハッピーエンドにきっちり収まっていて読んでて気持ちが良かった印象。
  • 出会う人々とか、めぐり合わせとか、ちょっとご都合感もあるけど、ハッピーエンドなのでOKです、という感想。
  • リッキーも名前は出てても登場は本当に最後の最後だけだったしな。その最後だけでもヒロイン力高かったので魅力凄いなとも思ったり。
  • ベルがしっかり因果応報食らってるのもお約束的で助かる。
  • 読み始めの序盤は正直少し退屈で、イマイチかな~と思ってたけど、3章の口論から一気に面白くなってきて、コールドスリープ後からはグイグイ読み進められて楽しかった。
  • あとは時間移動モノなので、「未来を知っているからそれに沿って過去で行動を決める」というのが鶏卵的にちょっと気になったけど、作内でタイムパラドックスにはちゃんと言及したうえで行動してるので、まあまあまあまあ。
  • SF描写もSFらしさにあふれててるというか、何かありそうな感じ、という説得力が良い感じ。このへんは文章とか翻訳の見事さもありそう。
  • SF的な設定だと時間遡行する際に同一の質量を反作用で飛ばす、という件が個人的にすごくそれっぽくてツボった。
  • ちょっと気になったのは全体的に平坦な印象を受けた部分。エモーショナルな強さというか、感情を揺すってくるような件が少なく、淡々としているように感じられた。古典とか時代的なものなのかな、とも思うけど。